フィンテックがもたらすもの~金融機関の融資が変わる編~
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
フィンテック活用が将来どのような影響をもたらすのか。
他人事ではないのですが、今日は企業の経営にとって重要な資金調達、とりわけ金融機関による融資について。
融資といえば一昔前までは、融資を受ける側(企業)が過去の決算書と審査に必要な資料をそろえて提出し、貸す側(金融機関)は、財務分析を行い、経営者へのヒアリングで得た情報をもとに審査に回し決済を受けるというフローで行っていたため、金融機関と企業とのコミュニケーションは非常に重要視されていたと思います。
企業側は自社の情報を的確に提供すること。
金融機関担当者は企業のことをよく理解すること。
これがないと金融機関担当者は融資の稟議も書けないし、審査担当者も審査のしようがありません。
企業と金融機関との間では、人間味のあるやり取りが行われていたと思います。
融資実行に時間はかかりましたけど。
しかし、IT技術が急速に高度化してきた2000年代に入ってから、金融機関や信用保証協会が加盟している団体は、借入をしている中小企業の財務データ等をデータベース化し、それをもとに構築されたCRD(Credit Risk Database)モデルを用いて、企業の信用力のスコアリングを行っています。
このスコアリング結果が、金融機関の融資判断や金利、保証率の設定の重要な要素になるとともに、企業と金融機関担当者の関係が希薄になる原因となったようです。
融資審査の定型化が進み、審査にかかる時間も短縮され、企業にとってはスピーディーな融資が受けられるようになったことは歓迎すべきことですが、金融機関担当者が企業の目利きが出来なくなっているという弊害も言われています。
このように融資の定型化、自動化が進んできましたが、フィンテックの活用で今後ますます自動化が進むと言われています。
今までは決算書などの過去情報に基づく審査を経て融資を行っていましたが、リアルタイムでの融資が可能になってくるでしょう。
会計データのクラウド化が進んでいますが、クラウド上にデータがあるということは、極端なことを言えば仕組みさえ構築すれば、だれでもデータにアクセスが可能となることを意味します。
このアクセス権限を金融機関に持たせることで、直近の会計データを活用した融資が可能となります。(もちろん企業側が権限付与を許可することが大前提ですが。)
もっとIT技術が高度になれば、AIが与信枠を設定し、資金需要がいつ発生するか判断して、完全自動の融資や返済が可能となる日が来るかもしれません。
約2年前にオックスフォード大学が認定した10年後になくなる職業の筆頭が、融資担当者だったことは否定できないかもしれませんね。