中小企業の政策減税打ち切りか
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
昨日、平成29年度税制改正で大企業並みの所得がある中小企業に対して、優遇税制を廃止するとの報道がありました。
法人税制上の中小企業とは資本金1億円以下の企業で、軽減税率など様々な優遇税制がとられています。
この制度を逆手にとって、減資等で資本金を1億円以下にして節税を図る大企業が絶えないための措置とのことです。
内容はといえば、中小企業のうち過去数年の平均所得が15億円を超える企業について、中小企業向けの政策減税の対象外とするものです。
中小企業の平均経常利益率が2%から3%であることをふまえると、平均所得が15億円を超える企業ということであれは、売上高がおおむね500億円以上の企業が該当するかもしれないと考えられることから、それほど多くはないのかもしれません。
報道でも数百社程度の税負担が増える見込みとのことでした。
15億円の根拠はといえば過去10年の大企業の平均所得が15億円だからということだそうですが、過去の平均所得を当期の適用税率に反映させるという考え方には違和感があります。
過去の所得はあくまでも終了した事業年度に係るもので、それを当期の税率に適用するというのは、税率採用の根拠としては乏しいと思います。
まあ、税制改正自体が法令や通達の矛盾を突いた節税策を封じることも目的とされている面があるので、今回の改正案もそれに沿った形なのでしょう。
最低資本金制度がなくなった現在、資本金を中小企業の定義とすること自体に無理があると思いますし、例えば企業規模を表す客観的な数値として、従業員数なども考えられます。
また、法人税の税率を所得税のように一部累進課税制度を導入するなどの抜本的な税制改正を行うことも検討の余地があると思います。累進課税は所得の多い大企業は反対するでしょうし、自民党が採用することはないのでしょうが。
社会保障制度を維持するための企業負担は今後ますます増えていくことは目に見えていますし、国の財政を健全化するために税金負担と社会保障負担を合わせた実質的な企業負担をどのように適正化するかを早急に検討してほしいものです。