不適切な会計経理の調査結果
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
去る12月5日に東京商工リサーチが2016年1月から10月までの全上場企業の不適切な会計・経理の開示状況の調査結果を公表しています。
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161205_01.html
これによると同期間に不適切な会計を開示した企業は48社で前年同期より5社増加し、2008年の調査開始以降最多のペースだそうです。
この背景には、外部要因としては東芝の不適切会計を発端にした会計監査の強化による不適切会計の発見、内部要因としては過度なノルマや目標設定、実現可能性の低い経営計画の策定が不適切会計に走らせているとしています。
また、企業のコンプライアンス意識の欠如も指摘されています。
不適切会計が発見された経緯については通常開示されないので、調査内容からも明らかではありませんが、企業側の内部統制などから発見されたケースと監査法人の監査の過程で発見されたものと両者があると思われます。
個人的にはどのような経緯で発見されたのかも興味のあるところです。
開示件数に現れないあるいは適時開示するほどの重要性のない不適切会計もあることを考慮すると、潜在的な不適切会計はもっと多くあるのではないかと推察されます。
なぜ不適切会計が増加傾向にあるのか。
前記のような内部要因もあるのでしょうが、景気が低迷してなかなか業績が伸びない、将来の見通しも決して明るくはない、個々人の将来に対する不安感など、先行きの不透明感に起因して世の中に蔓延っている漠然とした不安心理が影響しているのかなと思っています。
調査結果は上場企業に対するものですが、では非上場企業ではどうなのか。
公表されている統計資料として、ちょっと視点は異なりますが、脱税件数はどうなのかについて調べてみました。
2015年までの統計資料ですが、脱税の告発件数は微減傾向のようです。
微減の要因は、脱税件数が減っているというわけではなく、証拠資料の電子データ化や商取引の複雑化が調査を困難にさせているようです。
これは脱税に限られることではなく、不適切会計にも言えることで、今後、電子データ化や商取引の複雑化が進むことはどの企業でも考えられますし、不適切会計の巧妙化が進むことも想定されるので、企業の内部統制や会計監査の精緻化は必須となるでしょう。