小売業の未来は
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
アメリカの小売業大手シアーズホールディングスが150店舗の閉鎖を先日発表しましたが、昨年には百貨店大手のメイシーズも100店舗の不採算店閉鎖を決め、先日も約1万人のリストラを発表しています。
ここのところ、アメリカの小売業の不振が目立っており、年末商戦も不発に終わったことから、2016年度決算は間もなく発表されるでしょうが、四半期決算の推移から推測すると多くの小売業が前年比大幅な減収減益となるでしょう。
アメリカ経済は回復基調にあると言われていますが、リアル店舗を展開している小売業にとっては厳しい状況が続いているようです。
このような状況に陥っている大きな原因は、言うまでもなくアマゾンなどのECの台頭です。
2016年は不振の挽回をかけてブラックフライデーから始まる年末商戦に向けた期待が高かったようですが、消費者の購買行動の変化には逆らえず、近年ではECの年末商戦開始にあたるサイバーマンデーがクローズアップされる始末です。
以前、小売業に携わっていたこともあり、ブラックフライデーのリサーチや小売業の現状視察でアメリカへ行ったことがありますが、日本のバーゲンセールと比較すると、渡米当時から巷で騒がれるような盛り上がりは感じられませんでしたし、セール時期以外の百貨店やSCは閑散としていました。
では、今後日本の小売業はどうなっていくのか。
日本の小売業はさかのぼれば地元密着の商店街と百貨店が中心だった時代からGMSの台頭→専門店SCの繁栄と変遷していますが、近年ではアメリカのようにECの市場規模が急拡大しており、リアル店舗の苦戦が予想されます。
O2Oやオムニチャネルが小売業には必要だと言われるようになって久しいですが、ほんとうの意味でのO2Oやオムニチャネルを実践できている企業はまだまだマイナーだといえます。
ただ現実的な問題として、リアル店舗を展開している企業としては、ECへの対策よりも喫緊の課題となっているのは、販売員などの人手不足、SCの乱立による競合対策、海外生産国のコスト高、さらに円安やデフレが追い打ちをかけ、利益を出しにくい環境となっており、中長期的な戦略は後手に回っているというのが実態ではないでしょうか。
アメリカでは、ECの台頭による価格競争により、量販店のみならず百貨店でさえも日本では考えられないような大幅な値引き販売を行っており、日本も近い将来その波が押し寄せてくることが考えられます。
すでに過剰となりつつあるSCは今後淘汰されていくでしょうし、EC対策を制する者が生き残っていくのではないかと思っています。