エンゲル係数急上昇中!
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
先週の日本経済新聞に2016年のエンゲル係数が29年ぶりの高水準になりそうだとの記事。久しぶりにエンゲル係数という言葉を聞いたような気がします。
エンゲル係数とは何かですが、生活水準を表す指標の一つとして有名で、家計消費支出に占める食費の割合をいい、一般的にエンゲル係数が高いほど生活水準が低いとされています。
29年前といえば1987年になるわけですが、それ以前からエンゲル係数は一貫して漸減傾向でしたが、2006年を底に横ばいから上昇に転じ、ここ3年は急上昇中で、2016年は26%を超えるかもしれないとのこと。
例外は、消費税導入年の翌年1990年と消費税率が5%に引き上げられた1997年その翌年1998年のみエンゲル係数は上昇しています。
エンゲル係数の過年度の推移は↓
まずはバブル経済崩壊後の長い景気低迷がありながらもエンゲル係数がリーマンショック前の2006年まで低下してきたことはどういうことなんでしょう。
ここで家計消費支出と食費の関係を見てみると、また、違った傾向が見えてきます。
同じく総務省統計局の家計調査年報から抽出した家計消費支出と食費の推移↓
家計消費支出、食費ともにバブル経済崩壊後は当然ですが減少に転じています。特に食費の減少幅は消費支出の減少幅と比較して大きいことがわかります。
この時期は景気低迷で支出が減っていく時期ですが、IT技術の進歩により、パソコンや携帯電話が普及する時期と重なり、食費に代わってIT機器や通信費への支出が多くなり、これがエンゲル係数を低下させる要因となったのでしょう。
食費というものは生活するために最低限必要なものなので、特異な要因がなければそんなに増減するものではないはずですが、食費の内訳でみると、外食や中食はここ30年ほどほとんど変化はなく、内食の増減がそのまま食費の増減になっています。1990年前後の高水準の食費は外食などの贅沢な食事(食費にはお酒も含まれます)かと思いきや実際はそうではなかったようです。
では2014年以降の急激な食費とエンゲル係数の増加はどのように考えればよいのでしょうか。大きな要因としてはやはり8%への消費増税やそれに伴う値上げが関係するでしょう。
それ以外に記事で指摘されていたのは、「食の外部化」。核家族化や高齢者の増加による調理済み食品の購入や外食が増えているといいます。
しかし、中食や外食がそんなに増えていないという事実からすると、消費増税や食品価格の値上げが家計を圧迫し始めているのではないかと思われ、景気回復は遠い道のりになりそうだなぁと思ってしまった日経記事でした。