事業承継における2020年問題
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
少子高齢化社会の進展で日本の経済、財政など先行きが心配されている中で、2020年問題がいたるところで語られています。
2020年といえば東京オリンピックが開催される年で、そこまでの4年間は明るい話題が多いのでしょうが、同時に起こる問題についても看過できないものが多くあります。
2020年問題といってもその年に起こるのでなく、その年を起点にして問題化する事象を総称して使っています。
最も不安視されているのが、高齢化の問題です。
人口構成比率の高い団塊の世代が2020年には70歳に達する時期に差し掛かり、内閣府が発表している資料によれば2025年には約2割が75歳以上になるとの推計もあります。2025年問題とも言われています。
そこで議論されるのは介護費用や医療費の増加が顕著になり、医療費財政が破たんして、それに関連する年金財政にも影響してしまうので、対応をしていかなければならないというものです。
財源確保のための消費税増税は決まっていますが、年金支給額の減額や支給年齢の引き上げなど今後2020年問題への対応を議論するのでしょう。
その他にも、2020年を契機とした不動産価格の下落、団塊ジュニア世代が50代に差しかかりポスト不足と人件費の高騰が企業を圧迫、2020年の大学入試改革による教育問題、変わったところではカカオ不足によるチョコレート問題などです。
これら以外の2020年問題で本稿の本題である事業承継に関する問題です。
人口構成と同じように中小企業の経営者の多くを占める団塊の世代の引退の時期がこれに重なってくるのではないかということ。
日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」によると約50%の企業は廃業を予定しており、廃業予定と考えている年齢が平均71歳となっていることです。
事業承継という選択をとらない経営者が多いわけですが、廃業理由を見てみると、「当初からが自分の代で廃業を考えていた」、「事業に将来性がない」が多く、「後継者不足」を理由にした廃業は約3割にとどまっています。
中小企業の中には高い技術力や専門性を持った企業は多くあり、若い世代への技術・ノウハウの伝承を行っていかなければ社会的損失だと思っています。
大量の廃業により失業率の増加も考えられます。
そのような問題への危機意識は国もわかっており、昨年中小企業庁は「事業承継ガイドライン」を公表し、問題への早期対応と円滑な事業承継の実行を後押ししています。
日頃お付き合いのある中小企業を見ていてもこの問題の大きさはひしひしと感じています。