切手にまつわる3つのお話
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
切手の会計処理や消費税の取扱いについて知っている人は多いと思いますが、ここ半年の間にたまたま切手にまつわる処理に遭遇することが何回かあり、まだまだ知られていないことや勘違いもあるのだなあということでまとめです。
❶切手は課税仕入の巻
決算を確認している中での出来事。
公認会計士F「切手の税区分が非課税仕入になってますけど??」
経理担当者「非課税ではないんですか?領収書は非課税になってますが。今までも非課税で処理していますよ。」
なんてやり取りの後、課税仕入処理に修正してもらったわけですが、従来から非課税処理していたということは、当然消費税のみならず法人税等他の税金計算も誤っていたわけです。そもそも切手の購入自体は少額で大した影響はないのですが、これが金額が大きかったらと思うとぞっとします。
そもそも切手の取扱いはわかりにくく、消費税法では非課税取引とされています。しかし、ここでいう非課税取引というのは日本郵便株式会社が購入者に譲渡する場合のことで、購入時は非課税とされています。切手は郵便代金の前払いという位置づけのため、郵便サービスの提供を受けた時(切手使用時)に課税仕入処理をします。
したがって、切手購入時は貯蔵品として資産計上し、使用時に通信費として課税仕入処理を行うのが原則的処理になります。
しかし、切手の受払ごとに原則的処理を行うことは実務的に煩雑であり、かつ切手は購入後短期間に使用されることが見込まれるため、継続して購入時に課税仕入として費用処理することが認められています。
領収書上で非課税とされているのは紛らわしいですね。
❷切手を使って節税しようとしたの巻
継続して購入時に課税仕入として費用処理することが認められているということでしたが、ある会社の社長から自分の友人にこんな提案があったそうです。
社長「節税のために切手を購入したいんだけどどのくらい購入すればいいかなあ?」
たしかに特例で購入時に費用処理することが認められいますが、あくまでも定期的にかつ少額の購入ですぐに使用が見込まれることが前提ですので、大量に購入した切手は節税にはなりません。
この場合は期末に残っている切手をカウントし、貯蔵品に計上する必要があります。
決算期末に切手をカウントして貯蔵品計上する実務を中小企業ではほとんど行っていないのが実情ですので、このような考えが浮かんでくるのでしょう。
❸切手を使った横領の巻
切手は金券ショップなどで換金でき、不正の温床となりやすいものなので、見込みで定期的に購入している切手などは受払簿で管理しておくことが望ましいですね。
これも自分の友人の話です。
社長「ここのところ切手の購入が多いような気がするんだけど。郵送はそれなりにあるし、確証はないんだけどね。」
要は購入した切手の一部を従業員が換金しているのではないかという疑いをもったわけですが、なんの証拠もなくうやむやになっているとのこと。
この場合は受払簿で購入と使用した目的、枚数などを管理するしかありません。
切手に限らず、はがきやレターパック、収入印紙なども換金性が高いので注意が必要ですね。
切手は侮れないです。