働き方改革実行計画案が示されました
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
現在通常国会が開催され、新年度予算や重要な法案が目白押しにもかかわらず、森友学園問題で連日与野党や政府の攻防がメディアを賑わしています。議論を見ていると政局に利用しているとしか思えないようなやり取りが続けられていて、イライラしてしまいます。
そんな中、安倍政権の政策の柱の一つである働き方改革の実行計画案が公表されました。
今後、実行計画案に基づき関連法制度の整備が行われるのでしょうが、罰則付きの内容も含まれ、企業の人事労務関連に重要な影響を与える可能性があるので、内容については賛否両論があると思いますが紹介しておきます。
①同一労働同一賃金の実効性確保
目的は正規非正規にかかわらず、同一の労働に対する待遇の格差をなくすというものですが、ガイドラインの整備とそれに基づく関連法制度の改正が予定されています。
これは企業の給与体系や関連制度に大きな影響を与える可能性があるため、判断基準も含め、法改正に当たっては十分な議論が必要だと思われます。
先週、同一労働同一賃金に関して非正規労働者側敗訴の判決がありましたが、法改正の方向性として、司法判断を求める際の根拠となる規定の整備や行政ADRの整備も実行計画に盛り込まれていますので、判断基準は明確にされるのでしょう。
②賃上げと労働生産性向上
これは企業への賃上げの働きかけや取引条件の改善を促すとともに、賃上げしやすい環境の整備を行っていくというものです。
税制や助成金などで環境の整備を行っていくようですが、現状ある税額控除制度や助成金以外にどこまで実行可能なものが施策として出せるのか少々疑問の残るところです。
③罰則付き時間外労働の上限規制
これは実行計画案の中で最も議論されたものです。
規制の骨子は
・週40 時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として月
45 時間かつ年360 時間
・特例として労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720 時間(=月平均60 時間)
・年720 時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける
この上限については、
・2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで、80 時間以内を満たさなければならない
・単月では、休日労働を含んで100 時間未満を満たさなければならない
・特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6 回を上限とする
また、建設業や研究開発業務など現行の制度で適用除外となっている業務については対応を検討する必要があるとしています。
その他以下の実行計画が盛り込まれています。
④柔軟な働き方がしやすい環境整備(テレワークや副業、兼業の普及)
⑤病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
⑥外国人材の受け入れ
⑦女性・若者が活躍しやすい環境整備
⑧雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させ
ない教育の充実
⑨高齢者の就業促進
ガイドラインの制定や法改正など、これらの施策を実行するためにはまだまだ時間がかかり先の話ではありますが、いずれも企業への影響が大きいものばかりであり、動向は注視しておく必要があると思います。