東芝の今後はどうなるのか
こんにちわ!白金の公認会計士Fです。
報道などで東芝問題はさんざん伝えられているので、今更ということかもしれませんが、やはり気になることが多いので触れてみたいと思います。
昨日延期を重ねていた2017年3月期の第3四半期決算が公表されましたが、異例の監査法人による意見不表明という形で決着をみました。
記者会見では、細川社長が「調査を続けても何も出ない。続けても意味がない」との発言を行っており、監査法人との間の溝は相当深いなと感じました。場合によっては監査法人の変更もあるかもしれませんが、粉飾に続き、ウエスチングハウス問題が出て、そもそも引き受ける監査法人があるかも微妙ですね。
上場会社で意見不表明とされることはめったにないことですが、昨年も2件ほどありました。
フード・プラネットという会社については2016年8月の四半期報告書に対して、監査法人がゴーイングコンサーン注記に関連して意見不表明としています。この会社はまだ上場していますが、その後債務超過に陥っており、上場廃止に係る猶予期間入りしています。
メディビックグループという会社は2016年9月に過年度有価証券報告書と四半期報告書それぞれについて、同じくゴーイングコンサーン注記に関連して意見不表明としています。同時に形式的な上場廃止基準に抵触することとなったため、1か月後に上場廃止となっています。この会社はその後、監査報酬未払いにより監査法人が辞任するというオチまでついています。
また、古くはカネボウやライブドアでもあったように大きなニュースとなった事件では、監査意見を不表明としたことはあります。
監査意見不表明があった会社はほとんどがゴーイングコンサーンに重大な問題があるため、その後回復できず上場廃止に至ることが多い印象がありますが、東芝の場合は、過去の買収に関わる評価や損失計上時期などについての監査手続が終了していない(おそらく東芝との見解の相違が埋まらない)ためであって、他の意見不表明とは趣がちょっと異なります。
意見不表明即上場廃止になるわけではありませんが、意見不表明に至った経緯があまり説明されていないため、その経緯などが調査されることになるでしょう。いずれにしても債務超過に陥っており、東芝メモリの売却や本業の利益次第では上場廃止になる可能性は残ります。
しかし虎の子の東芝メモリの売却についてもすんなりいくかどうか。
既に外資ファンドやアジア企業がかなりの高値で入札しているようですが、国が気にしている技術の海外流出の問題もあります。かといって国内で資金を出すところがあるとは思えませんし、これもすんなりいかないでしょう。
となれば、東芝が描いている新年度以降の計画も見直さざるを得ず、ますます苦しい立場に追い込まれるかもしれません。
東芝といえば福島第一原発も忘れてはなりません。
GEや日立とともに、東芝も福島第一原発の設計に関わっているため、その廃炉作業は東芝抜きにはできません。今後廃炉作業に数十年もかかると言われている福島第一原発。東芝の行く末は気がかりです。